
ナナカマドと鳥
春には豊かに繁る緑、夏には五弁の可憐な花房、秋には美しい紅葉、冬には雪中に輝く赤い実り。古来、ナナカマドは四季折々の姿で北国に生きる人たちの目を楽しませてきただけでなく、炎の中で燃え難く冬の冷気にも耐えることから、生命力にあふれた強い樹木として親しまれてきました。
北欧神話では雷神トールが洪水で溺れそうになったとき、ナナカマドの枝に命を助けられたという伝説があります。ナナカマドの枝に魔力を祓う力が宿るとしてお守りにも用いられてきました。こういった言い伝えからナナカマドには「私はあなたを守る」という花言葉が与えられています。
強さの象徴であるナナカマドの木から、鳥を介して赤い実が運ばれ、そこで新しい芽が伸びるように、私たちは診療所を基点として地域に安心という実を展開していこうと思います。
そんなことを考えながら、今日も真っ赤な往診車に乗って患者さんのお宅をまわっています。
ななかまど診療所
院長 堂畑 雄一